当院では、毎朝、15分ほどミーティングをする。その際、スタッフ一人一人に数分ずつ好きなことを話してもらう。家族との出来事を話す人もいれば、今の感情を話したり、クリニックであった嬉しいことなどを話す場合もある。

そんな折、スタッフの一人がこんなことを話してくれた。

「ここにいる皆さんは、皆、一つのことを追求して達成してきた人たちばかりだと思います。私は、今までふらふらと何か一つのことを達成したことはありません。40才を過ぎていますが、新しいことを日々一生懸命学びたいと思います。」

と。

このスタッフにはうまく回答することができなかった。私は、このような勘違いを受けることが今までもしばしばあった。患者さんからも家族からも親戚からも、「沙耶花はすごい」というような。どのような勘違いかを説明しよう。

1、一つのことを追求して努力すれば、達成できるという勘違い

一つのことを追求してそれだけやろうとすると脳は疲れてしまうのだ。だから、あちこち色んなことを同時にする。そうする方が、学びの効率も上がるのだ。内科も小児科も心療内科にも取り組んでいる。はたまた西洋医学も東洋医学も代替医療も含めた統合医療に取り組んでいる。一つのことだけやっていたら、今の自分はないのだ。その逆だ。色々と中途半端につまみ食いした結果が今の私を形作っている。興味があることは、一つに限らず、なんでもやってみよう。

2、何かを習得するには学ぶ順番や、資格が必要だという勘違い

これは、医療者から質問を受けることが多い。「先生は統合医療で開業するにあたり、どこで何を学ばれたのですか?」

専門医というのは、専門医認定制度がある。もちろん、私も総合医として、プライマリ・ケア学会の認定専門医を持っている。ところが認定専門医だから腕が良い名医であるとは限らない。ある時、女性医師と話していたら、漢方を学びたいから、学会に入って、認定専門医を取得する。そのために、大学に非常勤で働くという話を聞いたことがある。よくある話だ。外科の先生方は専門医を取得するのに、手術症例を何例報告するというのが義務としてある。内科もそうだ。経験症例が何例。漢方もそうだ。では、症例数を集めて、報告し、専門医の試験に合格したら、立派な漢方医かと言われればピンキリである。

医療事務とてそうである。ユーキャンで民間資格をとったから、すぐに実践できるかというとそうではない。

統合医療を学ぶのに、では、認定制度に合格したら、一人前か。そんなことはない。日々学ぶ必要がある。資格や認定制度に固執する必要はない。所詮、認定制度とは人が作り上げたことなのだ。目の前にあることから学んでいくことの方がよっぽど重要だ。そして、学び方は人それぞれで良い。理論ではなく、もっと現場のことを重視しよう。

3、年齢を重ねると新しいことを身につけるもは難しいという勘違い

30代前半の頃、大学院で勉強していた時に、英語が必要で、英会話教室に行ったり、TOEFLの試験を受けたりしていた。その時、高校の同級生に出会ってそんな話をすると「この歳になって、英語学ぶなんて、すごいね。」と言われたのを覚えている。

この歳?ってどの歳だろうと思った。

40才を迎えて、また、周りに、「この歳になって、新しいことを学ぶのは大変です。」と言われると、どの歳?と思う。

みなさんはご存知だろうか。短期記憶は年齢と共に衰えるが、エピソード記憶という自分の過去の記憶やイメージと一緒に記憶する記憶力は年齢と共に伸びるのだ。何故ならば、過去の経験が豊富となりイメージ力は子供よりずっと豊かになる。だから、まだまだ40才!!!50才になっても、60才になっても、70才になっても、我々は進化し、学び続けることができるのだ。日々学んでいると、新しい発見があり、とても面白い。私は、医者になって、15年ほどが経過したが、これからが医師人生の始まりだと思っている。これからますます私の診療スタイルは進化する。ポラーくんも来たことだし、楽しみだ。若者に伝えたい。学ぶとは楽しいものなんだ。


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